楽しい海外旅行の最中に、大切なパスポートを無くしてしまったり、盗難に遭ったらどうしますか?
当然ながら、ものすごく焦り、パニックになりますよね。今回は恥ずかしながら実際にスリに遭った経験をお話しします。
海外旅行での辛い経験
海外渡航回数は約50回、その半分以上が個人旅行になります。個人旅行とは旅行会社を通さずに、自分で飛行機の予約やホテルの手配、現地での移動などを行う旅行形態の事です。
個人旅行の場合、当然ながら添乗員さんや現地ガイドはいないので、何かトラブルが発生した場合は全て自分たちで対処しないといけません。
「タクシーやお土産などの料金をぼったくられた」「勝手にガイドされて料金を請求された」など、小さなトラブルはたまにありますが、今までに遭遇した大きなトラブルは次の2つです。
- チリでパスポートをすられた
- バルセロナで財布をすられた
いざトラブルに遭遇すると、パニックになったり、ショックのあまり何も考えられなくなったりしてしまいますが、何事も素早い対処が必要です。
それでは、詳細を見ていきましょう。
チリでパスポート盗難
被害状況
今から6年前、南米のペルー、ボリビア、チリの3か国を周遊した時の事です。帰国のため、地方空港から日本へのフライト出発地であるチリのサンティアゴ空港に到着したのがお昼頃。日本へのフライトは夜なので、半日サンティアゴ観光をするため、バスで市内へ向かいました。
ざっくりと市内観光し、地下鉄に乗ったのですが、帰国日で気が緩んでいたんだと思います。満員の地下鉄に無防備にもリュックを背負ったまま乗り込みました。
乗換の駅で降りると、後ろにいたダンナに「リュックのファスナーが開いてる」と言われ、すぐに中身をチェック。財布はリュックの奥深くに入れていたので無事だったのですが、二人分のパスポートが入ったパスポートケースがありません!
顔面蒼白、頭は真っ白。「なんで、なんで、なんで」が頭の中をグルグル回ります。どんなに探しても、リュックの中身を全部ぶちまけても、どこにもパスポートはありません。そういえば、電車の中で二人組の女が後ろをうろうろしていました。何の用かと何度か振り返ったのですが、その時にはきっとすられていたんでしょうね(涙)
鉄道警察へ報告
幸い降りたのが大きな駅だったので、すぐに鉄道警察に駆け込みましたが、「日本大使館でパスポートの再発行手続きをし、警察署で被害届を作成してもらえ」とそっけない態度。ここでは何もしてくれないようです。
日本大使館でパスポート再発行手続き
不幸中の幸いだったのは、被害にあったのがチリの首都、サンティアゴで日本大使館があること。これが地方都市だったらもっと大変なことになっていたと思います。
日本大使館へ行き、事情を説明するもこの日は金曜日。今日中に再発行することは不可能だけど、今すぐ被害届を作成してもらい、今日中に持ってきてくれれば月曜日の朝一番に手続きするので、月曜日には発行できるとの事。しかし、発行するには戸籍抄本が必要だと言われました。旅行中なので、もちろんそんなもの持っている訳もありません。「FAXでもいいので、日本の家族に連絡して取ってきてもらってください。」と言われ、急いで日本に連絡。FAXの使い方や国際FAXの送り方を教え、何とか理解してもらえました。
そのほかに必要なのは、被害届、再発行手数料、再発行申請書、顔写真になります。
被害届の作成
日本大使館で最寄りの警察署を教えてもらい、被害届を作成してもらいに行きます。警察署では日本の銀行と同じように番号の紙を取って、自分の順番が来るのを待つのですが、周りのみんながじろじろ見てきます。そりゃそうですよね。こんな所で何してんだ?って感じですね。
ずいぶん待たされてやっと私たちの順番が来ましたが、ここでも問題発生。警察官が話せるのはスペイン語のみ、私たちはスペイン語がほとんど話せないので、書類の作成が進みません(涙)たくさんの警察官が入れ替わり立ち代わり私たちのところにやって来ては何もせずに帰っていく、の繰り返し。途方に暮れていると、一人の警察官が道を歩いていた人に声をかけ、英語を話せる人を連れてきてくれました。おかげで無事に被害届を作成できました。この時点でかなりの疲労困憊。でもまだ終わりではありません。
フライトの変更
予定では今夜の便で帰国するはずでした。でもパスポートが無いので当然ですが、帰国できません(涙)スーツケースも地方空港で預入したままです。なので、帰国できないのに空港に向かいます。
日本へのフライトはアメリカン航空だったので、空港到着後、アメリカン航空のチェックインカウンターへ向かいます。地上係員(以下「地」)に半べそで訴えます。
私:パスポートをすられてしまったので、今日は帰国できません。月曜日のフライトに変更してください。
地:Oh,My God!!!かわいそうに。でも月曜日でいいの?パスポートの再発行は間に合うの?どこの国?
私:日本です。日本大使館の人に、月曜日には発行できると言われました。
地:日本なら大丈夫ね。月曜日の空席を調べてみるわ。カチャカチャカチャ…席が離れるけどいいかしら?
私:帰れるなら何でもいいです。
地:カチャカチャカチャ…これが新しいチケットよ。
私:スーツケースを預けたままなんですが、引き取りできますか?
地:荷物のタグはある?30分後に到着出口に持っていくから待ってて。
私:ありがとうございます。
ナント!格安航空券だったのに手数料なしでフライトを変更してくれました。パスポートを盗まれたかわいそうな観光客に対する地上係員の温情でしょうか?なにわともあれラッキーでした。
ホテルの予約
さて、不本意ながら月曜日までサンティアゴに滞在することになったので、ホテルを確保しないといけません。 でも、日本大使館⇒警察署⇒日本大使館⇒空港とバタバタ移動した為、時刻はすでに夜の8時、あたりは真っ暗です。
スリにあったので気分もかなり沈んでいます。真っ暗な街をホテルを探して歩き回るのは嫌だし、今日はどこにも行きたくない!と言うことで、この日は空港泊にしました。
もう若くもないのですが、他の若者たちに交じって、横になって眠ることができる椅子を確保して就寝しました。
翌朝、目星をつけていたホテルに電話して、無事に月曜日までの2泊分を予約しました。
奇跡が起こった!
ホテルにチェックインするも、観光する気分にならず、部屋でぼーっとしていると携帯に電話が…
「地下鉄のごみ箱からパスポートが見つかったと連絡がありました。今すぐ確認に行けますか?」
警察から日本大使館に連絡があったそうです。昨日訪れた鉄道警察で預かっているとの事。早速大使と駅で落ち合い確認すると、そこにはまぎれもない私たち二人のパスポートがあるではありませんか!まさに奇跡です!
財布だと思ったのに違ったので捨てたのでは?との事でした。見つけてくれた掃除の方に感謝です。
「パスポートを盗まれた人を何人も見てきたけど、こんな風に見つかったのは初めてです。よかったですね。」と大使がおっしゃってました。ほんと、ラッキーでした。
パスポートが見つかったとなると、いつまでもサンティアゴにいる意味はありません。なんてったって明々後日から仕事ですから。今夜のフライトに搭乗できれば明後日にはは日本に帰国できます。会社になんて言い訳して休みを伸ばそうか、と悩んでいたところだったので、助かりました。
月曜日に変更していた帰国のフライトを、急いで当日のフライトに再度変更しました。今度はきっちり変更手数料を取られたのは言うまでもありません(苦笑)
せっかくフライト変更したし、ホテルも予約したので、週末サンティアゴ観光してから帰国しようかとも考えたのですが、ダンナが変更手数料払っても早く帰りたいというので、帰国することにしました。
※親に頼んでFAXしてもらった戸籍抄本ですが、日本大使館には届いていませんでした。でも、電話料金にはきっちりと国際電話の通話料が加算されていました。我が家の戸籍抄本は一体どこにFAXされていったのでしょうか?謎です。
バルセロナでスリ被害
被害状況
3年前にスペインのバルセロナに行った時の事。その日はバルセロナ中心部のランブラス通りにあるサン・ジョセップ市場に行こうと、地下鉄に乗って出かけました。
チリでのパスポートスリ事件以降、海外旅行中に出かける時は極力鞄を持たないようになりました。その日も鞄は持たず、デニムの右前ポケットに財布、左前ポケットにスマホを入れていました。ロングTシャツを着ていたので、ポケットに何かが入っているかどうかは、パッと見ただけではわからない状態です。
地下鉄は混雑していたので、入り口付近に立っていたのですが、後から人がたくさん乗り込んできたので、ダンナとは少し離れたところにいました。
次の駅でドッと人が降りたのでダンナに合流すると、リュックを前に持って立っていると、持っていたジャケットで手元を隠した怪しげな女が近づいてきて、リュックのファスナーを開けようとしたとの事。最初から怪しい奴が近づいてくると思っていたらしく、ジロリとにらむと、苦笑いしながら降りて行ったと。何も取られてないやんな?と確認されたので、もちろん!と答えようとポケットを触ってみると、右前ポケットに入れていた財布がありません!まさか!またやられてしまった!
ダンナ曰く、リュックのファスナーを開けようとしていた怪しい女が降りる時、私の後ろにいた女と合流していたらしいので、地下鉄に乗るときから目をつけられていて、あからさまな手段でダンナや私の気を引いて、その隙にもう一人がスリを働いたのではないかと思います。
でも、スキニーデニムの前ポケットですよ?しかもロングTシャツでポケットは隠れていたから、盗るときはTシャツの下に手を入れないといけない事になります。まったく何かが触れた感触がなかったんですよねぇ。本物のプロってそんなに上手なんでしょうか?
被害内容
チリに引き続き、またしてもまんまとやられてしまいました。
今回の被害内容は両替しようと思っていた1万円札と50ユーロ、クレジットカード2枚(自分名義とダンナ名義各1枚)です。
もともと混雑する市場へ行く予定だったので、大金を持ち歩いてなかったのが救いでした。でも、やっぱり1万円はイタイ(号泣)
クレジットカード停止手続き
すぐに宿泊していたアパートに戻り、ネットで連絡先を調べて、クレジットカードを停止してもらいました。クレジットカードには盗難保険が付いているので、すぐに連絡すれば不正利用されても大丈夫なのですが、やっぱり心配です。
紛失・盗難受付デスクは24時間・年中無休なので心強いですね。
被害届の作成
海外旅行保険では現金やクレジットカードは補償対象外なのですが、念のため被害届を作成してもらうため、警察署へ行きました。
バルセロナの警察の方は英語が話せたので、スムーズに手続きできました。私たちの他にもスリや窃盗にあった観光客の姿がちらほら。気を引き締めないといけませんね。
まとめ
チリでパスポート盗難に遭遇してからは、すぐに再発行できるようにと、しばらく戸籍抄本を持って海外に出かけていました。でも、6か月以内に発行した戸籍抄本でないとパスポートは発行できないので、何度も取り直すのが面倒になり、すぐに持っていかなくなりましたが…
現地滞在中はホテルのセーフティボックスに貴重品を預けているので、パスポートを持ち歩くことはありませんが、経由地などで乗継時間があるからちょっと観光、っていう時は十分注意しないといけません。
バルセロナでのスリ被害後は、以前にもまして地下鉄やバスに乗るときは注意するようになりました。満員電車に乗る時は常に財布があるかどうかチェックしています。逆に、ここに財布あるよーって言ってるようなものかもしれないので、出来るだけ自然にチェックしましょう。
2度のスリを経験し、今ではクレジットカードは必要最小限しか持ち歩かないようにし、お金も小分けにして二人で持つようにしています。
乗り物以外でも市場やマーケット、イベントなどの人込みの多いところに出かける時は、首からぶら下げることのできる財布を使用し、洋服の下に隠すようにしています。ただし、これって薄着になる夏場は使えないんですよね。
リュックや鞄を持っているときは、人込みでは常に自分の前で持つようにし、貴重品はリュックの奥深くにしまうようにしています。
ごくごく当たり前の注意事項なのですが、ちょっと旅に慣れてくると気が緩んでしまい、何の根拠もないのに「私は旅慣れてるから大丈夫」とか思っていたんですよね。この2回のスリ事件はそんな私の鼻を見事にポッキリ折ってくれました。
この記事を読んで、やっぱり海外はあぶないやん!行きたくない!なんて決して思わないでください。自分たちが十分に注意していれば防げることなんです。私たちのこの苦い経験が少しでも皆さんの役に立てば、盗られたお金も報われると思います。