メケレの町からETT(エチオトラベル&ツアーズ)で手配した車で約11時間かけてラリベラへ移動。飛行機だと30分くらいの距離なのに、車だと1日がかりの移動です。
ラリベラへ来た目的は、世界遺産に登録されている『ラリベラ岩窟教会群』を見ること。
旅のルートを決めてから分かったのですが、エチオピア正教のクリスマスは1月7日。クリスマスを聖地ラリベラで過ごすためにエチオピア国内から信者が集まってくると言われています。
私たちがラリベラ入りしたのはクリスマス直前の1月4日。小さな町にたくさんの人が集まってきていました。
エチオピア旅⑤世界一過酷?なダナキルツアー後編からの続きです。
ラリベラ岩窟教会群
1978年に世界遺産に登録された、標高3,000mの高地にある岩窟教会群です。
エチオピアは4世紀にキリスト教が伝来して以降、周囲をイスラム諸国に囲まれながらも、アフリカにおいて唯一のキリスト教国。
正確な建造年代は不明だそうですが、ザグウェ朝7代国王ラリベラの命により、ラリベラを「第二のエルサレム」にするべく12世紀末~13世紀にかけて建造されたと言われています。
ヨルダン川を挟んで第一グループ、第二グループに分かれていて、それらとは少し離れたところに聖ギオルギス教会があります。
ラリベラには11の教会があり、外国人はそのすべてに入場可能なチケットを購入する必要があります。
【料金】50USドル(5日間有効)
【入場時間】8:00~12:00、14:00~17:00
こちらが2人分のチケット。右上の文字が男1人、女1人という意味だと思います。
チケットには代表者の名前と身分証明書の番号を記入しなければなりません。
チケット購入時にパスポート番号を記入するように言われたのですが、持ち合わせていなかった為、わからないと答えると、電話番号でもいいとのことだったので、携帯電話の番号を記入しました。
ペラペラの紙ですが、各教会の入口や敷地内など色んな所にチケットをチェックする人がいるので、なくさないようにしましょう。
こちらがラリベラの町の地図。
黄色い部分が教会群になります。
私たちが宿泊したホテルは地図左上のあたり。ホテルから教会群までは徒歩2~30分くらいでした。
ガイドを雇うと詳しい説明を聞きながら観光できるのですが、自分たちのペースでゆっくり回りたかったので、ガイドはつけませんでした。
私たちは1日目に第一グループと聖ギオルギス教会を、2日目に聖ギオルギス教会と第二グループをゆったりと回りました。
いずれの教会も中に入るときには、靴を脱がないといけません。
第一グルーブ(Northern churches)
聖救世主教会:Bet Medhane Alem(Church of the World Saviour)
ラリベラで一番の大きさを誇る石窟教会。1つの岩を掘り下げて作られています。
教会を囲むように32本の角柱が並んでいる様子は、古代ギリシャ神殿のよう。
残念ながら写真には写っていませんが、窓には2つの鍵穴が施されていて、それぞれ天国と地獄を表しています。
ガイドがいないとこういうことになるんですね(苦笑)
内部には司祭がいらっしゃいます。
そしてたくさんの信者さんたち。じっと座っているけれど、何を待ってるんでしょう?
聖マリア教会:Bet Maryam(Church of Mary)
教会群の中で最古のものだと考えられている教会。
聖救世主教会からは地下道でつながっていると言われています。
教会内部にはカラフルな絵画が飾られているので、ぜひとも見たかったのですが、内部はたくさんの信者で埋め尽くされていました。
寝ている人もいて、このままクリスマスまでここで過ごすつもりなんじゃ?って思えるくらい。
なので、ささっと写真を撮ったら撤退です。
教会と教会はこんな通路でつながっています。
そして、マーケットでもやってるのかな?と思った向う側の人込みは、信者のキャンプサイトです。こんなキャンプサイトが色んな所にあって、クリスマスまで過ごすようです。
とっても信仰深いんですね。
第一グループにはこの他にハウスオブクロス:Bet Meskel (Church of the Cross)、聖ダナグル教会:Bet Danagel(Church of the Virgins)、聖ゴルゴダ教会&聖ミカエル教会:Bet Golgotha and Bet Mikael(Church of Golgotha and Sain Mikael)の4つの教会があるのですが、写真を撮っていなかったり、気付かずに訪れていなかったり。
やっぱりガイドを付けていないとこうなりますね(苦笑)
参考までに、聖ゴルゴダ教会&聖ミカエル教会は内部でつながっていて、聖ゴルゴダ教会は女人禁制です。
内部には12使徒の像があるそうです。見てみたかったなぁ(>_<)って、女人禁制だから無理か。
そして聖ミカエル教会はラリベラの中でもっとも美しい教会と言われているそう。今後行かれる方はお見逃しないように。
聖ギオルギス教会:Bet Giyorgis (Church of Saint George)
ラリベラ岩窟教会群の中で一番有名で、一番見てみたかった教会です。
1枚岩を掘り下げて作られた「モノロティック」というスタイルで、十字架の形をしています。
教会内部には柱がなく、十字架の箱のようになっているので、「ノアの方舟」とも呼ばれています。
高さ・幅・奥行き12mの立方体を十字架の形に切り抜いた教会。1階、2階、3階に分割されており、1階が家畜、2階が家族、3階が奥さんを象徴しています。
伝説では、他の10の聖堂が彫り上げられた後、ラリベラ王の夢枕に聖ゲオルギウスが立ち、この教会を作るように命じたそうです。
ダナキルツアーで一緒だったフランス人家族が、先にラリベラを観光してきたというので色々話を聞いていると、朝一が空いていて観光客も少なく、ゆっくり見れるので早起きして行くべきとの事でした。
ならばと翌朝朝食前(6:30ごろ)にホテルを出発したのですが、クリスマスイブだったためか朝7時前でもこの人出。
一瞬下に降りるのやめようか?と思いましたが、時間が遅くなればもっと人出が増えると思い、意を決して教会内部へ。
教会は掘り下げて作られているので、階段で降りるのかな?と思っていましたが、どの教会も階段ではなく、このような細いスロープが入口になっています。
教会の前でみんなで大合唱。ずっと同じ歌を歌っていました。
聖水をかけてもらったり、教会に頭をくっつけてお祈りしている熱心な信者さんたち。
教会の入口は大勢の人でごった返していたのですが、意を決して教会内部に突入。が、ものすごい人でカオス。
人混みをかき分けて何とか前まで行くことが出来ましたが、まったくゆっくり見ることができませんでした(涙)
12使徒をシンボルとした12の窓があるのが特徴。
また、教会には通常3つの入り口があり、男性用、女性用、司祭さん用と分かれているようですが、あまりの混雑にみなさんどこでも自由に出入りしていました。
この後いったんホテルに戻って朝食、休憩後、第二グループの見学に出かけました。
第二グループ(Southern churches)
聖エマニュエル教会:Bet Amanuel (Church of Saint Emmanuel)
人ごみの先に小さな出入り口があるのですが、中に入ろうとする人と中から出てこようとする人が我先に、と詰め寄るので一向に列が進みません。
カオス過ぎる。
入口にいる警備員が入る人と出る人を交互に通行させるようにしてようやく列が進み始めたのですが、みんな並ばずに入口へと押し寄せるので、なかなか前に進めません。途方に暮れていると警備員さんが私たちを見つけてくれ、外側からこっちに回ってくるようにと手招きしてくれました。
どうやら私たち外国人は優先的に中に入れてくれるようです。(高い入場料払っているからかな?)
警備員さんの近くに行くと、腕を引っ張って中に入れてくれました(それに紛れて中に入ろうとしていた現地の人は追い返されてました。)中から外に出る時も同様に警備員さんの近くに行くと、優先的に出してもらえました。
第二グループの中で最も美しいと言われている教会。
教会内部も人であふれています。
キリストが現れ寄りかかったとされる柱があり、人目に晒されないように常に布で覆い隠されているそうですが、どれの事かわからず(涙)
教会前ではクリスマスの儀式?が行われていました。
アッバ・リバノス教会:Bet Abba Libanos (Church of Abba Libanos)
もともと洞窟だった場所に造られているので、岩盤の側面からくり貫いて作られています。
屋根の一部は岩につながったままですが、他の面は岩から切り離されています。
聖ラファエル&聖ガブリエル教会Bet Gabriel and Rufael (Church of Saints Gabriel and Raphael)
教会の脇にある細い坂は、通称「天国への階段」幅50cm高さ20mのこの坂を登ると天国へ行けると信じられていたそうです。
ラリベラの教会群の中で2番目に大きい聖マルコス教会:Bet Merkorios (Church of Saint Mercurios)。外側から見たのですが、写真は撮っていませんでした。内部には12使途を描いた壁画があるそうです。
ガイドをつけずに観光した為、ルートも見どころもよくわからないまま、なんとなく回ったので、周り切れていない教会があります。
教会の前にある看板を取りあえず写真に収めて、後でどの教会かわかるようにしていたのですが、見返してみるとよくわからない…
でも、はっきり言ってしまえば宗教にそんなに興味があるわけではなく、「どうやってこんな大きな教会を掘り下げて作り出したんだろう」と考えながら教会を眺めているのが楽しかったので、満足です。
絶景レストラン『Ben Abeba』
宿泊したホテルの近くにあった360°見渡せる絶景レストラン。
トリップアドバイザーでも1位です。
全席から絶景が見えるように、面白い作りになっています。
一番上のテラス席からの景色。
この席は大人気で、たくさんの人が夕日の時間に合わせて訪れていました。
きれいな夕日。
ただ、太陽が沈んだ後はすごく寒くなります。ダウンを着ていたし、ブランケットを貸してくれるのですが、それでも寒さに耐えきれず、夕日鑑賞後は風のない半屋内へ移動しました。
カラフルなベジタブルインジェラ。
ここのインジェラは今まで食べたインジェラほど酸っぱくなくて食べやすかったです。
ただし、中央の赤いペーストはとっても辛かったです。
料理はどれも少し高めですが、絶景を見られると思えばコスパいいのではないでしょうか?
エチオピア料理に疲れた胃にはちょうど良いと思います。
ナイトライフ『Torpedo Tej Bet』
地元のダンスが見られるというお店。
昼間に場所確認を兼ねて偵察に行ってきました。
何時からダンスが始まるのか尋ねると、8時からとの事。
夜出直します。
ちょっと早めの6時半にお店に行くと、すでに満席。しかもほぼ地元民。観光客らしき人が見当たりません。
ここもかなりカオス。クリスマスのラリベラをなめてはいけません。
席を探してキョロキョロしていると、いろんなテーブルの人が席を詰めて手招きしてくれます。
その中でも比較的やさしそうな人たちのテーブルに相席させてもらいました。
お店の名物「tej(テジ)」、ハニービール。ほとんどのお客さんがtejを注文しています。
なぜフラスコのような容器に入っているのかは不明。
ソフト・ミディアム・ストロング・スペシャルの4種類があるのですが、無難にミディアムを注文。
味は…ほんのり甘いのですが、後味がなんというか燻製のような味?
ダンナは気に入ったようで、がぶがぶ飲んでいました。
満席の店内、それでもどんどんお客さんがやってきます。
みんなビールケースを椅子にしたりして、座っているのですが、こんな状態でいったいどこでダンスするんだろう?
店内の音楽に合わせて、みなさん自分の席で踊り出します。そして私たちが相席したテーブルの人たちが、お店の中で一番目立って元気に踊っていました。
踊ると言っても、全身を使ってダンスするのではなく、肩を激しく揺するのがエチオピアのダンスみたい。
立ち上がって肩を激しく揺すって、座ってtejを飲む。そんな繰り返しでした。
でも、8時を回ってもダンスショーは始まらず。30分くらい待ったのですが、ショーが始まる気配はなく、満席にもかかわらず、続々とお客さんがやってくるので、諦めて帰ることに。
ダンスショーは見れなかったけれど、地元のお客さんの即興ダンスが見れ、カオスだけど楽しい夜になりました。
ラリベラの空にも綺麗な星空が広がっていました。
まとめ
ラリベラの岩窟教会群は見応え十分、是非訪れてください。
教会内にはカーペットが敷き詰められていて、ノミがたくさんいるとのクチコミを見たので心配していたのすが、乾季だからか心配していたノミ被害はありませんでした。
が、はっきり言ってエチオピア正教のクリスマスシーズンの訪問はおススメしません。
確かに、普段は見られないお祈り風景が見れてラッキーかも?と思いましたが、あまりの人の多さにゆっくり見学することが来ませんでした。
教会内部をじっくりとみてみたかったなぁ。
いつもはもっと人が少なく、早朝はほとんど人がいないので教会群を独占できるようですが、この時期はエチオピア各地から信者が集まって来ていて、教会群の近くで寝泊まりしているので、早朝からものすごい人出。さすがにうんざりでした。
でも、お祭り騒ぎ大好き!という方は、エチオピア正教のクリスマス前後をめがけて訪れると楽しいかもしれません。